【何事も経験!】
<2006年06月09日団長日記より>
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小3の娘が、ミニバスケ部の練習は、極力休まずに参加している。
平日の放課後3日間と土日はそれぞれ終日。
 
バスケが好きらしい。
特に、bjリーグの観戦会場で、大阪エベッサが魅せてくれたバスケの醍醐味・観客席でのミラクルな出来事を味わってからが、バスケへの執着心というか…目の色が違う。
練習を休むということが嫌いらしい。
まだ3年生だと、横で見学させられることばかりであっても、ほぼ皆勤参加のようだ。
 
ところが…
 
「最近ずっと、一つ上の学年の女の子に、練習中に意地悪されるねんけど、どないしたらエエ?」と半べそをかきながら、おれに相談してきた。
 
娘は、少々頑固なところがあり、おれの幼少時代と同じで、自分の思っていることを上手く友達に伝えるのが下手なタイプやからなぁ…
大体こういうケースは、意地悪をされる方にも原因があることは多い。
 
したがって、まずは、じっくりと具体例を引き出してみた。
 
どうやら、一人の女の子が意地悪をしているようだ。
そう…イジメというレベルよりは…意地悪なんやね…
 
 
・娘がオフェンスの時、踏んでもいないのに「あんたサイドラインを踏んだから、ボール交代!」…身勝手な判断
 
・娘がディフェンスすると「邪魔するなや!!」と先輩ヅラで怒鳴る…娘にしたら、それじゃぁお互いの練習にならないと理不尽な思い。
 
・チーム組みする際、娘と同じチームになると「やはり、もういちどジャンケンしなおそう」…これ露骨にされると大人でも気分悪いよね。
 
・ライン外からボールインの練習の時、本来ラインを超えてディフェンスなんかしたらアカンのに、娘がボール保持者となる時は、その子は堂々とラインを超えて邪魔してくる…ルール無視
 
・娘は自分の身長を活かし、シュートブロックが得意だが、手を高く挙げているだけで、ボールを押さえ込んだり、手を叩いたりしていないのに、その子がシュートしてゴールを外すと「あんたのファールだったから、私のフリースローね!!」と勝手に決め込んでしまう。
 

これらの具体例の全部が、全体練習の時ではなく、いくつかのグループに分かれて練習する時に起きるらしい。
つまり、どうやら、その身勝手な行為は、先生やコーチの目の届かないところで受けているようだ。

ただ…具体例を聞いていると、娘の擁護よりも、その意地悪をする子の将来の心配のほうが大きくなっちった…。
 
さらに話を聞くと、その子は、娘より小柄であり、普段の言動や練習振りを聞く限り、それほどバスケが好きなわけではないように思える。
つまりは、小学生ながら、体育会系の先輩風を利かせるために、バスケ部に入っていると言っても過言ではない…。
 
一方、娘は、とても3年生とは思えない大きな身長。
ただし、おれと同じで、バスケが大好きな割に、それほど動きにキレとセンスはない。
ただ、曲がったことが嫌いで、上級生とは言え、言い返すこともたびたびあるようだ。
 
要約すると…

「下手クソなのに、もの凄くバスケを愉しそうにする長身の下級生」に対し、
「自分より大きくて生意気な下級生へのやっかみ半分」+「自分の方がはるかに上手いという自覚」+「友達を失いかねない自分勝手タイプ」の要素による意地悪のようだ。
 
いつの時代も、こうした子はいるんやね…。
少女漫画の世界だけかと思ってたけど…あ、いや、おれ…少女漫画は読んだことないか…。
 

ただ、まあ…こういうケースは、娘の話だけを一方的に全て信じるのは、何かとリスクを伴う。

娘の自意識過剰である場合もあったり、その女の子の言い分もあるやろう…。

とにかく、まずは、娘に「心構え」だけは諭すことにした。
 
おれは、基本的にバスケの技術指導は、コーチに任せているので、一切口出ししない主義。
したがって、以下の三つの心の持ち方だけを、娘にアドバイスした。
 
「強くなれ」
「上手くなれ」
「優しくなれ」
この三つにトライしてごらん、と…。
 
 
「強くなれ」
 
思い通りに行かないことがあると言い返す反面、すぐに泣くな。
泣くなら最初から反論するな。弱みを見せると相手はつけ上がる。泣かずにコミュニケーションを取れるように強くなれ。
自分の気持ちをコントロールできるようになるためにもバスケを続けて欲しい。
 
 
「上手くなれ」
 
現状のことは、コーチも知らないらしいが、コーチに相談・告げ口するのは我慢しよう。
その代わり、お前が上手くなって、コーチに注目されるように頑張れ。
部員が多い現状で、コーチに目配りを要求するのも酷やし、これから伸びそうな子、頑張っている子には、自然とコーチの目が行く頻度が増えるやろうから、“ズル”をされている現状を発見してもらうためにも、今が悔しいと思うなら「上手くなる」という気持ちへ切り替えろ。
実際、おまえは人よりも不器用で下手なんやし…(←本人かなり納得)
 
  
「優しくなれ」
 
その上級生の意地悪を責めるより、「そういう友達付き合いしかできないなんて、もったいないね」と心のゆとりに切り替えろ。
もちろん、決してその子を見下してはいけない。
むしろ、その子に対しては、“自分がその子のような人との接し方だと、いいチームメートが作れない”という「ヒント」をくれて、ありがとね~くらいの気持ちを持て。
そして、他のチームメートや後輩への気配りの糧としろ。
 
 
泣きじゃくって説明していた娘も、自分の中に溜まっていた不安や不満を全部おれに吐き出し、おれからの話を理解し始めると、表情も徐々に晴々としていた。
 
3番目の「優しくなれ」というのが、一番理解し難いことかもしれないな~と思いながら諭してみたが…、どうやら、彼女には一番利いた言葉のようだ。
そして、やはり「上手くなりたい」らしい。自分が試合に出る大会では勝ちたいらしい…。
精神的に「強くなる」は、まぁ…そのうちな…。
 
大体、諭しているおれも「こういうアドバイスで、この子は良い方向に行くんやろか?」って暗中模索で不安なんよね~。
  
 
でも、まあ…大丈夫!
こんなことでバスケが嫌いになって欲しくないし、むしろ、こうした団体行動を通じて、人間が形成されていったら嬉しい。
 
何事も経験だな!
こうした事例があるからこそ、対処方法も身につく。
 
だから、「強くなれ」「上手くなれ」「優しくなれ」
 
うん、突然おれもこうしたケースはどういう励ましの言葉を送ればいいか、戸惑ったが…この3つの言葉の組み合わせはイイね。
娘に言い聞かせながら…語る言葉は、自分自身へのエールのような気もしてきた…。
社会に出ると、自分の思い通りにならないことなんて、たくさんあるし…実際その壁には何度もぶち当たってきた。
 
そう…おれも強くなろ…。
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