【相手チームのキャプテン】
<2007年6月24日 団長日記より>
 
昨日、娘の所属するミニバスケチームが、夏の大阪市大会の地区別ブロック予選に出場。
勝ち抜けば、決勝リーグに進める。
 
小学4年の10歳娘は…レギュラー…とは言ってもチームには上級生が数名しかいないから実力ではない…。
それでも、ゲームにたくさん出られることが嬉しくて、張り切ってコート内を走り回っていた。
ゲーム慣れして少々自信がつき始めたこともあり、特にディフェンスはイイ。
自分がマークすべき相手が、自分より経験豊富で体格差のある上級生であっても、腰を低くしてポジション取りをさせず、守っているのにアグレッシブに攻めている感じさえ受ける。
 
ただ…シュートチャンスは相変わらずリングから遥か遠いところへ…それはご愛嬌というより…親譲りだからしゃーないっつうことで。。。
 
この日、対戦する相手チームの試合を観ていた。
92対6のような大差で勝ち進んでいる。
このチームレギュラーは、全員が6年生。
経験豊富な上、身長160cmをほとんどの子が超えている大柄チームで、とにかく個人技もパス廻しも素晴らしく、シュートへの執着心も強い。
 
娘のチームレギュラー構成は…6年生1名、5年生2名、そして娘を含む4年生2名。
他の5人の4年生は娘がなんとか誘ったバスケ始めたばかりの子。
要は5~6年生合計3人しかいない。
 
娘達も、日々厳しい練習を続けているとはいえ、明らかに対戦する前から、実力差は歴然。
レギュラー陣全員は、戦う前から、薄々感じているようだった。
試合直前、緊張する娘に一言だけ。
「とにかく、走り負けるな。どんなに点差が開いても、走り負けるな。最後まで気持ちで負けたらアカン!相手は大きいけど、くじけそうな弱い自分と闘え…」
 
それを聞いた娘は、少し緊張がほぐれたのか「足は遅くても、走るのは止めないよ」と言うし、会話を横で聞いていた違う唯一の6年生が「おっちゃん…私達が負けると思ってるん?」と、まさに自分達チームメートに気合入れるように叫んだ。
 

そうして始まった試合。
想像通り、相手は強い。強すぎる。。。
第1Q:2対28
第2Q:0対22 

…前半終了時点で、2対50
ひえぇ~…
 
相手にシュートを決められると、エンドラインからボールを入れて試合続行するのだが…彼女達は、これほどエンドラインからボールを入れ続けるばかりの試合となると…かなり心が折られる。
 
むちゃくちゃ悔しいらしい…

第3Qになると、悔しさのあまり、6年生と5年生が泣きながらプレーし始めた。
同じバスケをする者として、自分達の実力はこんなものだったのかと、打ちのめされる悔しさということは判る。
 
第3Qの途中から悔しさがバネとなってきたのか、決して諦めない姿勢がプレーの随所に見られる。
普段泣き虫な娘を見ているおれとしては、すごい意外だったが、泣かずにゲーム参加し続け、声を出して走り回り、時には大きな体格差は関係なく必死にゴール下で頑張っていた。
まあコート上の10人で一番細い体なんやけどね…。

 
第3Q:8対12 …スコアはこの時点で10対62
 
第3Qで既に勝負がついた最終Qになると、相手は5年生~4年生を出してくる余裕の展開

第4Q:10対8
結果としては、20対70…完敗。
 
試合終了後、整列して、挨拶。
そこまでは、娘も気丈に泣いてはいなかった。

しかし…それまではっきりと泣くのを我慢していたが、ついに涙腺が緩んだ瞬間がある。
 
試合終了後、少しだけ相手チームの子たちと会話を交わした時。
相手チームの背番号4番…つまりキャプテンの子が、娘に対して「あなた何年生?」と聞いてきてくれた時だ。
 
相手の4番に何て言われたのかを、家に帰った娘に聞いてみた。
 
『え?4年生?…なんだかスゴイ頑張ってたね。またどこかでやろうね…。』
 
それだけの短い言葉やけど、相手チームの下級生を励ます言葉を残していくなんて、大した6年生やわ。
それに、相手が気に留めてくれていただけでも、娘はすごく感激したようだ。
そう…つまりは、悔しさというより…相手からのねぎらいの言葉に感涙!
 

「上手やったね。」じゃなくて…「頑張ってたね。」

…これ、めちゃくちゃ響く。

実際上手でもなんでもなかったけど、頑張っていたことを認められるって…子供にとっては凄く励みになる。


もう、娘は家に帰ると「相手の4番」の話ばかり。
 
「あの4番…バスケすごい上手いし、強いし…それだけやないねん!挨拶とかカッコエエし、更衣室の場所がわからなくて会場関係者にモノを聞く時なんて、言葉遣いの変な大人の人よりもカッコエエねん!も~カッコええわ!人としてカッコいい!!それで、もっと上手くなった来年くらいに、あの4番に勝つねん!!」
 
 
いや…もう4番のキャプテンの子は来年には中学生で、5年生のあなたとは対戦できませんけど…
試合結果より、娘にしては、得るものが大きかったのではないだろうか…
 
実際同じコートで対戦した相手をリスペクトするのは、とてもイイことやと思う
それに、家に帰ると、撮っていた試合のビデオで、自分達の動きの解説を何べんもさせられたが…そうやって自主的に聞いてくる辺りは積極性も出てきている
 
何よりも「相手のキャプテンみたいに“優しい人”になりたい」という感受性は、大事にしてやりたいよね!
 

 

バスケって、人を育てる要素がたくさんある
 
ミニバスケチームの監督さんが常々子供達に話して下さること。
「まず、自分の厳しくなれ。弱い自分と闘え。自分に強くなれた子は、必ず人に優しくなれる。それを気付いてもらいたいから、子供達にバスケを教えている。」
 
相手チームのキャプテンを観ると、その意味がすごく良く解る気がする。
 
バスケだけ上手い選手よりも、娘には優しい人にもなってくれたら嬉しい。

 

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